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「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」フォトレポート

「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展示風景、東京都現代美術館、2020年
Photo: Kenji Morita

2020年11月14日より東京都現代美術館にて「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が開催中。東京に生まれ、アートディレクター、デザイナーとして、多岐にわたる分野で新しい時代を切り開きつつ世界を舞台に活躍した石岡瑛子(1938-2012)の世界初の大規模な回顧展。時代を画する初期の広告キャンペーンから、映画、オペラ、演劇、サーカス、ミュージック・ビデオ、オリンピックのプロジェクトなど、その唯一無二の個性と情熱が刻印された仕事を総覧できる本展覧会。今回はフォトレポートとして公開します。



開催概要

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会期

2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)

休館日

月曜日(11月23日、2021年1月11日は開館)、11月24日、12月28日-2021年1月1日、1月12日

開館時間

10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)

観覧料

一般 1,800円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 1,300円 / 中高生 700円 / 小学生以下無料

※ 本展のチケットでMOTコレクションもご覧いただけます。
※ 小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。
※ 身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付添いの方(2名まで)は無料になります。
※ 企画展「MOTアニュアル2020 透明な力たち」展とのお得なセット券もあります。※予約優先チケットもあります。詳細はこちら

会場

東京都現代美術館 企画展示室 1F/地下2F

場所

〒135-0022 東京都江東区三好4丁目1−1

主催

公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会

協賛

ライオン、DNP大日本印刷、損保ジャパン、日本テレビ放送網、パルコほか

協力

公益財団法人DNP文化振興財団、劇団四季、資生堂、七彩ほか

助成

オランダ王国大使館

後援

公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会

 

1 Timeless : 時代をデザインする

 展覧会場に入るとすぐに、赤い壁から熱く語る石岡瑛子のインタビュー音声と言葉が迫ってきます。人間の身体の躍動感を根源に宿しつつ、「赤」をキーカラーとし、視覚的なインパクトとエモーションを併せ持つこれまでの石岡瑛子の仕事、そして現在進行形のクリエーションを体感できる空間になっています。

第1章では、デザインを通じて人々に新しい価値観と生き方を示しながら、同時に時代を超える自らの核を模索した石岡瑛子の仕事が紹介されています。

 

左:ポスター「資生堂サマー化粧品:120日の太陽が真上に燃えるとき」1967年
右:ポスター「資生堂ビューティケイク:太陽に愛されよう」1966年   展示風景

国内での一連の仕事において、石岡瑛子は、解放された女性像を提示し、東洋と世界の諸文化を対照・混合させながら、新しい時代を切り拓いていきました。

2 Fearless : 出会いをデザインする

第2章では、自らの限界を恐れることなく現場に世界を広げ、各分野の表現者たちとのコラボレーションを進めた時期のプロジェクトを辿ります。

『石岡瑛子風姿花伝 EIKO by EIKO』

1983年、石岡瑛子は日本でのこれまでの仕事を総まとめした『石岡瑛子風姿花伝 EIKO by EIKO』を自ら構成、編集して日米で出版。これを名刺代わりに、新しい出会いへと乗り出していきます。

『M.バタフライ』 1988年(ニューヨーク)1989年(東京)|ストレートプレイ 舞台衣装

『M.バタフライ』 1988年(ニューヨーク)1989年(東京)|ストレートプレイ 舞台衣装

文化革命期の中国を舞台に、フランスの外交官と女装の中国人スパイの偽りの愛情劇を描いた『M.バタフライ』で、石岡瑛子は舞台美術と衣装、小道具のデザインを担当、ブロードウェイでの初めての仕事に乗り出します。「東洋と女性に対する幻想」について、これをどのように舞台DESIGNに翻訳すべきか試行錯誤します。

 

3 Borderless : 未知をデザインする

第3章では、自らの個性を進化させ、駆け抜けていった石岡瑛子の円熟期の仕事が紹介されています。


コンテンポラリー・サーカス『ヴァレカイ』(シルク・ドゥ・ソレイユ)衣装デザイン「火山の跳ね師たちの衣装」

映画『落下の王国』(ターセム・シン監督、2006年)「銃使いの黒い盗賊の衣装」 衣装デザイン 

絵本『えこの一代記』

石岡瑛子の足跡をたどってきたこの展覧会は、彼女の「最初の作品」で幕を閉じます。「私は誰か」という表現者としての最初の問いかけともいえるこの本。「えこ」という女の子を形作ってきたものが詰まっています。希望に満ちた少女時代に英語で作られたこの絵本と、ハリウッドで最後の日々に描いた、自由で自立した白雪姫の物語は、石岡瑛子というひとりの表現者のなかで途切れることなく繋がっています。

「Timeless, Original, Revolutionary」の3つのテーマをデザインの根幹に掲げ、「私」の可能性を拡張し続けた石岡瑛子の仕事や、常に新しいプロジェクトに身を投げ出す、自由な個性を発揮し続けた石岡自身の生涯は、2020年の現在を生きる私たちに力強いメッセージを投げかけます。


石岡瑛子 1983年 Photo by Robert Mapplethorpe
©Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.

石岡瑛子(いしおかえいこ)
1938年東京都生まれ。アートディレクター、デザイナー。東京藝術大学美術学部を卒業後、資生堂に入社。社会現象となったサマー・キャンペーン(1966)を手がけ頭角を現す。独立後もパルコ、角川書店などの数々の歴史的な広告を手がける。1980年代初頭に拠点をニューヨークに移し、映画、オペラ、サーカス、演劇、ミュージック・ビデオなど、多岐にわたる分野で活躍。マイルス・デイヴィス『TUTU』のジャケットデザインでグラミー賞受賞(1987)、映画『ドラキュラ』の衣装でアカデミー賞衣装デザイン賞受賞(1993)。2008年北京オリンピック開会式では衣装デザインを担当した。2012年逝去。