TOKYO ART BOOK FAIRは、2009年に日本初のアートに特化したブックフェアとしてスタートしました。10年目の節目となる今年は、この春リニューアル・オープンしたばかりの東京都現代美術館に会場を移します。独創的なアートブックやZINEを制作する国内外の出版社、ギャラリー、アーティストら約300組の出展者が一堂に会し、それぞれの出版物の魅力を伝えます。
また今回、企画展示室地下2階では、2015年からスタートした、ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画「Guest Country」でアメリカを特集した展示やプログラムを行うほか、日本人作家によるアーティストブックを作り手の声とともに紹介する「Japanese Artists’ Books: Then and Now」展や、資生堂ギャラリーがこれまでに刊行した図録を通し、その100年の活動の歩みを振り返る展示などの特別プログラム、ゲストを招いてのトークショー、作家によるサイン会などを開催いたします。アートブックの魅力を多角的に紐解く様々なプログラムを通して、進化を続けるアートブックのいまを体験することができる場の創出を目指します。
https://tokyoartbookfair.com/
基本情報
日時
7月12日(金)15:00-21:00 (プレビュー)
7月13日(土)ー15日(月・祝)11:00-19:00
会場
東京都現代美術館 企画展示室B2F、エントランスホール ほか
料金
入場無料
※12日のみプレビュー参加費として1,000円(税込)、小学生以下無料
※トークイベントは一部有料
協賛
協賛:株式会社ビームス、株式会社 資生堂、Steven Alan、株式会社イニュニック、16(Sixteen)、理想科学工業株式会社、P.R.I.M.V.S
展示エリア
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F
主催:一般社団法人東京アートブックフェア、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
公募ブースエリア
会場:東京都現代美術館 エントランスホール ほか
主催:一般社団法人東京アートブックフェア
特別協力:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
展示エリア
Guest Country: United States ゲストカントリー:アメリカ
毎回、ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画「Guest Country」では、これまでにスイス、ブラジル、アジア(中国、韓国、台湾、シンガポール)を特集しました。10周年を迎える本年は、世界のインディペンデント出版文化を牽引するアメリカをフィーチャーします。いまでは世界各国で開かれるアートブックフェアは、1976年に印刷物を用いたアート表現を積極的に行うアーティストらが設立した非営利の書店Printed Matterが、2006年にNew York Art Book Fairをスタートしたことに始まります。アート系出版社、書店、印刷物を使った表現を試みるアーティストが数多く存在し、多様性のある豊かなアメリカの出版文化を「Radical Pages: A Selection of American Zines」、「Exhibition: 10 Years of The Thing Quarterly」の2つの展示とトークで 紐解きます。
Exhibition1
Radical Pages: A Selection of American Zines
ニューヨークのアートシーンを牽引する写真家、レレ・サヴェリが主宰し、インディペンデント出版のプラットフォームとして機能する非営利のメディアコレクティブ、8-Ball Community。彼らはニューヨークの駅構内にあるキオスクにて、期間限定でZINEを販売するインスタレーション「The Newsstand」を展開し、その後はニューヨーク近代美術館(MoMA)を始めとする美術館を巡回したことで注目を集めました。ボランティアスタッフが中心となり、世界各地でインスタレーションや展示を開催したり、ラジオやTVなど独自のメディアを運営したりするなど、さまざまな活動を通してインディペンデント出版文化の発展に貢献しています。今回は、彼らのコレクションより、1970年代以降のアメリカにおける重要なZINE約150タイトルを展示いたします。世界中の若者たちが、身近な表現のプラットフォームとしてZINEを積極的に制作するいま、アメリカに焦点を当て、その歩みを辿りながら現在地を探ります。
会期中は、8-Ball Communityに所属する作家たちや彼らがお勧めするZINEを展示・販売する特別ブースも設置されるほか、会場にZINEを持参していただくと彼らのコレクションに加えてもらえるエクスチェンジプログラムも展開いたします。
Exhibition2
10 Years of The Thing Quarterly
The Thing Quarterly は、サンフランシスコにて2007年から10年間にわたり、年4回、計34号刊行された雑誌です。本企画のユニークな側面のひとつとして、雑誌でありながらも決まったフォーマットの紙媒体で表現するのではなく、アーティストとともに日常の中で芸術の大切さを物語るオブジェクトを制作していた点が挙げられます。ミランダ・ジュライによるシャワーカーテン、ガブリエル・オロスコによるフリスビー、ライアン・ガンダーによるトランプ、タウバ・アウエルバッハの時計など、毎号異なるアーティストが手がけたオブジェクト……アメリカのアートシーンで活躍する現代作家による作品を「雑誌」というフォーマットで量産し、多くの人々が気軽に生活の中でアートにふれ、体験できる機会を創出しました。アメリカの現代アートおよび出版シーンの中で異彩を放ち、愛された雑誌の10年間の活動を紹介いたします。
Issue 1:Miranda July
Issue 2:Anne Walsh
Issue 3 : Kota Ezawa
Issue 3.5: Tucker Nichols
Issue 5 : Lucy Pullen
Issue 6:Allora & Calzadilla
Issue 7:Jonathan Lethem
Issue 8:Trevor Paglen
Issue 9:Ryan Gander & Europa
Issue 10: Starlee Kine
Issue 11 : Chris Johanson
Issue 12 : Doo.Ri
Issue 13 : Matthew Higgs & Martin Creed
Issue 14:James Franco
Issue 15 : Macfadden & Thorpe
Issue 16:Dave Eggers
Issue 17 : Shannon Ebner
Issue 18:Mike Mills
Issue 19:David Shrigley
Issue 20:Tauba Auerbach
Issue 21 : Ben Marcus
Issue 22:John Baldessari
Issue 23:David Korty
Issue 24:Rodarte
Issue 25 : Brian Roettinger
Issue 26:Gabriel Orozco
Issue 27 : Michelle Grabner
Issue 28:Jason Fulford & Tamara Shopsin
Issue 29:Ricky Swallow
Issue 30 : Raimundas Malašauskas
Issue 31: Ken Kagami
Issue 32:Experimental Jetset
Issue 33:Amanda Ross-Ho
Issue 34:Dave Muller
Guest Country 関連プログラム
Lecture by David Senior(SFMoMA Librarian)
デイヴィッド・シニアは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)を経て、現在はサンフランシスコ近代美術館(SFMoMA)のアートライブラリの司書を務め、自費出版によるアートブックの収集を含むコレクション管理に携わっています。図書館主催による展覧会の企画を多く手がけるほか、Printed Matterが主催するNYおよびLA Art Book Fairのトークプログラムを2008年から担当しています。今回は、アートブックフェア誕生以降のアメリカにおける、インディペンデント出版の発展についてのレクチャーを開催いたします。
[デイヴィッド・シニア]
サンフランシスコ近代美術館の図書館及びアーカイブの責任者。前職であるニューヨーク近代美術館で企画した展覧会に「THE ELECTRO-LIBRARY」 (2016)、「Ray Johnson Designs」(2014)、「Please Come to the Show」 (2013)、「Millennium Magazines」 (2012)、「Access to Tools: Publications from the Whole Earth Catalog, 1968–74」 (2011)などがある。1960年代以降に制作された展覧会にまつわるエフェメラを展示した「Please Come to the Show」の図録を2014年にOccasional Papersから刊行。『Frieze』『Dot Dot Dot』『Art Papers』など様々な雑誌に寄稿するほか、Printed Matter、Art Metropoleのアドバイザー、Primary InformationのYale Unionのボード・オブ・ディレクターの一員を務める。
Exhibition3
Japanese Artists' Books: Then and Now
20世紀以降、世界に点在するアーティストたちが作る、印刷物を表現のプラットフォームとして用いた作品「アーティストブック」は、時代とともに豊かな発展を遂げてきました。個々の作り手たちの革新的なアイディアが直接的に体現されたユニークな印刷物は、複製され移動しながら、ダダ、コンセプチュアル、ミニマルアートなどのムーブメントや印刷技術の進化などさまざまな要因との相互作用を繰り返しつつ、アート表現における新たな時代を切り開き、次世代に受け継がれてきたといえるでしょう。
本展では、現在の日本のアート出版シーンを牽引する日本人作家たちに焦点を当て、アーティストブックにおける原体験やその魅力などを語った言葉とともに彼らの作品を展示いたします。それぞれの作家のルーツや解釈を通して、日本独自の発展を遂げた写真集や漫画文化、海外のアートムーブメントと連動した表現、インターネットの発展がもたらした変化など、日本におけるアーティストブックの多様な進化の軌跡を巡り、これからの本の表現を紐解く試みです。
■参加作家(五十音順)
河井美咲、川島小鳥、クリヨウジ、立花文穂、平野太呂、平山昌尚、ホンマタカシ、ミヤギフトシ、森山大道、山田愛子、横田大輔、横山裕一
Exhibition4
カタログでたどる、資生堂ギャラリーの100年
現存する日本で最古の画廊といわれ、これまでに3100以上の展覧会を開催してきた資生堂ギャラリーは、1919年のオープンから今年で創設100周年を迎えました。これを記念し、これまでの展覧会のカタログと95年に刊行された『資生堂ギャラリー七十五年史』の展示および一部販売をいたします。資生堂ギャラリーが伝えてきた「新しい美の発見と創造」に触れ、ぜひあなたのお気に入りの展覧会を見つけてください。
公募ブースエリア
独創的なアートブックやZINEを制作する国内外の出版社、ギャラリー、アーティストら約300組の出展者が一堂に会し、それぞれの出版物の魅力を伝えます。
出展者情報 https://tokyoartbookfair.com/exhibitors/
※ 詳細やその他、ワークショップ、ライブパフォーマンス、トークイベント等は随時TOKYO ART BOOK FAIRのウェブサイトにてお知らせします。
https://tokyoartbookfair.com/events/
Photo: Akihiro Itagak
東京都現代美術館 館内のご案内(TOKYO ART BOOK FAIR 2019会期中)
TABF開催時間に合わせ、レストラン「100本のスプーン」、カフェ&ラウンジ「二階のサンドイッチ」、ミュージアムショップ「ナディッフ コンテンポラリィ」もオープンします